マクロダイブで小さな魚をしっかり観察しようと思うけど
- 思うように魚に近づけないし・・体が安定しなくてBCの空気を全部抜きたくなっちゃう
というダイバーを見かけます。
日本ではそれでも許されるかもしれませんが、海外では許されないことが多いです。
私は海外でマクロガイドと呼ばれて25年
マクロ好きなゲストに小さな生物をたくさん見せてきました
この記事では海外で気持ちよくマクロダイブを楽しめるような中性浮力と水中姿勢について解説したいと思います。
マクロダイブは初心者とは違う細やかな中性浮力と水中姿勢が必要
日本では中性浮力がとれない人は着底できるマクロダイブがいい?的な雰囲気があります。
しかし海外ダイブで着底は最初の講習では認められてオープンウォーターダイバーになったらほぼ認められません。
ただ、最近では海外でもマクロダイブをメインとするスポットも増え砂地などサンゴがないところでは着底を許すところも出てきました。
しかし、それは初心者のする着底とは違い中性浮力をとった上での着底です。
細やかな中性浮力と着底姿勢を練習して海外でも恥ずかしくないスキルを身につけましょう。
マクロダイブのための中性浮力のスキルとは
マクロダイブのためには数センチ単位の中性浮力スキルが求められます。
初心者がマスターする中性浮力はおおまかに浮かんでいれば良いのですが、小さな生物を観察したり写真撮影するには不十分です。
ここではマクロダイブのための中性浮力とはどんなものか
どういうふうに練習して行けばよいのかを解説します。
まず知っておいてほしいのはマクロダイブのための中性浮力を練習するには初心者が学ぶ普通の中性浮力がしっかりとれるようになっていることが前提です。
普通の中性浮力についてはこちらの記事を参照にして下さい。
ダイビングの中性浮力を効率よく学ぶコツ!5つのステップと3つの練習方法
マクロダイブのための中性浮力コントロールの仕方
ライセンス講習時、普通のダイブの場合は
普通のダイブ:まずは肺での浮力コントロール→できなければBCでのコントロール
というふうに教えられます。
しかし、マクロダイブの場合は数センチメートルの調整が必要なので
マクロダイブ:BCであらかたのコントロールをしておく→微妙な浮力を肺でコントロール
という順に調節することになり全く逆です。
具体的な方法としては・・・
- BCで大まかな浮力の調整をすぐにできる。
ある水深での必要な空気量の検討が自然に身についていることが大前提と言えます。 - 肺で微妙な調節をコントロールする。
自分の中性浮力状態を細かに察知して自然と呼吸と連動できることが大切。
ダイバー
このようなことから初心者が最初から挑戦するにはかなり難しいスキルです。
(普通のダイブでの肺のコントロールをマスターしていないと出来ません)
基本的なBCの浮力調整・肺での浮力調整の仕方は初心者で学んだ方法と全く同じです。
BCに空気を入れる=浮く
BCの空気を抜く=沈む
空気を吸う=浮く
空気を吐く=沈む
*浮力は2~3秒遅れて効果が出ます。
詳しくはこちらのページを参照にして下さい。
ダイビングの中性浮力を効率よく学ぶコツ!5つのステップと3つの練習方法
マクロダイブのための水中姿勢とは
小さな生物を観察するにはその生物と同じ目線でいることが理想です。
高い場所にいるならば楽ですが、ほとんどは地面に近いところに居るので水中姿勢は地面に這いつくばるような形になることが普通です。
しかし海外では基本的に着底禁止。全く着底しないのが理想です。
それではなかなかマクロ観察はできません。
最近ではマクロダイブで多少の着底は目をつぶるダイブサイトも多くなっています。
だからと言ってべったりと這いつくばるような姿勢はできるだけ避けるべきです。
マクロダイブの3つの水中姿勢
水中姿勢はおおまかに3つあります。
- 初心者:ひざつき着底姿勢
- 中級者~上級者:フィン先着底姿勢
- 上級者~エキスパート:中性浮力
それぞれの方法と注意点を説明します。
初級者:ひざつき着底姿勢の方法と注意点
初心者が講習の時にするようなひざをついて着底する方法です。
海外では講習の時しか許されませんが日本でマクロダイブをする方のほとんどはこの姿勢かも知れません。
日本では砂地・岩地でのダイビングがメインであまり注意されることがないからだと思われます。
この姿勢は誰でもできて簡単ですが、環境を考えるとあまり好ましくない姿勢です。
膝部分がグッと砂にのめりこんだり、ウェットスーツの膝がボロボロになるようなら要注意
できるだけ中性浮力を意識することが好ましいです。
ダイバー
この姿勢は観察したい生物との距離が他の姿勢に比べると遠く上から目線になりがちで、写真を撮る場合も構図が決まりがちです。
中級者~上級者:フィン先着底姿勢の方法と注意点
海外旅行に行くマクロ中上級者やヨーロピアンがしているのがフィン先だけをつけて着底するこの姿勢です。講習時に練習したフィンピポットの状態を続けるイメージです。
地面への接点が最小限で環境にも配慮しているイメージがあります。
BCや肺を使って上半身はしっかり中性浮力を保ち、フィン先でフラフラするのを防ぐやり方です。
ダイバー
この姿勢なら地面との接点も少ないし撮影時も地面近くまで姿勢を落としたり高くしたりすることができるので自由度が高いです。
浮力調整でいろんなアングルの写真が望める理想に近い姿勢です。
マクロダイブをするダイバーは
まずこの姿勢ができるようになることを目指しましょう!!
上級者~エキスパート:中性浮力
海外旅行によく行く上級者~エキスパートの方だと着底無しの中性浮力で水平姿勢をとります。
難易度はとても高く日本人だとプロのカメラマンでもできない方がいます。
水平姿勢で中性浮力にするにはスキルも大切ですが器材もそれなりのものを揃えたほうがうまくできます。
中性浮力で水平姿勢を保つコツ
- BCであらかたの中性浮力をとり肺で微妙な調整をします。
- 膝は曲げるようにしてあおり足でバランスをとるのが基本です。
- BCはバックフロートタイプがおすすめです。
- ゴムフィンは足が下がるのでプラスティックフィンなど軽いフィンがおすすめ
軽いフィンならば膝を曲げなくても水平に姿勢を保ちやすいです。
ダイバー
日本で潜っているとこのスキルの必要性を感じることは少ないかもしれません。
しかし、海外ダイブを楽しむならば習得していて損はないスキルです。
マクロダイブのための中性浮力&水中姿勢の練習方法
まずはエキスパートを目指さずにフィン先着底姿勢をマスターしましょう。
水中姿勢が安定してから中性浮力での姿勢を練習すればスキルアップも早いです。
マクロダイブのための練習方法と言っても特別なものではありません。
基本はオープンウォーター講習でやったフィンピポット練習です。
初心者用の練習とは意識するところが変わります。
マクロダイブのためのフィンピポット練習
- 水底近くでホバーリング状態からフィン先をつきます。
その時先に手の指などを少し地面に置いても良い - フィン先は水底に着き、体は浮く状態にBCの調節をします。
見たい生物がいるところをイメージしてその高さに目線が来るようにします。
カメラをする人は腕を前に構えるようにしてBCの調節 - 肺を使ってとまれるように調節してみる
コツとしては・・・・- 浮力は呼吸後2~3秒遅れてついてくるのでそのタイミングをずらすように呼吸すること
- 一度の呼吸量が多いと上下しやすい。その場合は細かく呼吸
- 一度の呼吸量が少ないと上下しにくい。その場合はダイビング頭痛になりやすいので注意
- 多くもなく少なくもない自分に合った呼吸量を身に着けコントロールするのが大切
最初は難しいかもしれませんが意識しながらダイビングをしていると必ずできるようになります。
フィン先着底姿勢が簡単にできるようになってきたら中性浮力での姿勢も手が届くようになります。
まとめ
マクロダイブは普通のダイビングに比べ中性浮力や水中の姿勢の高いスキルが必要です。
日本では着底が普通ですが、海外のダイビングでは着底することはあまり良いとされていません。
最近では、マクロサイトが増えてきて着底を許すところも出てきましたが
環境を配慮するためにも中性浮力のスキルを上げ、せめてフィン先着底姿勢を心がけるようにしましょう。
楽しいダイビングを!!
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