【実話&体験談】海外でダイビング中に疾病・事故|保険・現金がないと手当をしてくれないは本当

海外ダイブの計画と準備
この記事は約9分で読めます。

日本では病院に行けば助けてもらえるのが常識ですが国外に出るとそう言うわけにはいきません。

海外では外国人となるとかなりの治療費を請求されます。
高いだけならまだしも、すぐに支払らえる能力がないと治療さえ受けさせてもらえません。

この記事では実際にあったダイビング中のアクシデントとその時にどういう経緯で助かったのかという体験談を書きたいと思います。
海外旅行・海外ダイビングでのアクシデントでは保険がないと助からないというギリギリ体験を皆さんに読んでいただき少しでも保険の必要性を感じてもらえればと思います。
万が一の時、後悔しないように・・・

体験談1:診断は減圧症、でも治療よりも支払い能力の確認が最優先

僻地で働いていた私自身の話です。
ある日、器材を洗って片づけた後シャワーを浴びていると、シャワーを浴びているのに浴びている感覚がない。

あれ?なんで?

不思議に思いシャワーが当たっている自分の足を確認したのですが
確かにシャワーの水は足にかかっているのにその部分に水が当たっている感覚がないのです。

胸騒ぎを感じながらシャワーを終え、着替えてしばらくすると
胸・お尻など贅肉がある部分が痛くなってきました。
小一時間もするとそれは全身に広がり座っていることもできない痛みに・・・

そういえばその日の3本目のエキジット時、ゲストが落としたフィンを水深15mくらいまでスキンダイブで取りに行っていました。
反射的に取りに潜ったけど浮上中に「急浮上で減圧症やばいかな」と思っていました。
後悔、先に立たずです。

急いで酸素吸入をしてもらいましたが痛みは強くなるばかり、ついには寝たきりになり話も出来なくなりました。
横で付き添ってくれていた女性スタッフは「死なないで~」と泣き出すし
自分も呼吸するのがやっとだったのでもしかして死ぬのかも・・・と頭によぎり「お母さんごめんなさい」という言葉が自然に出ました。そのあと朦朧とし眠ってしまいました。

翌日、目を覚ました時、「私…生きてる」とうれしくなりました。

でも、体を動かそうとすると激痛で動けない。
酸素吸入のおかげか話せる状態になっていました。
マネージャーに「病院に行きたい。チャンバーに入らないといけないと思う」と訴え臨時ボートを出してもらい病院へ連れて行ってもらった。

病院での診断は「減圧症」すぐにチャンバーに入るべきとの診断
すぐにチャンバーへ入れてもらえると思っていたのですが
突然請求書を渡された

USD4000

これが払えないとこんなに死にそうになっているのにチャンバーに入れてもらえないらしい。
治療にはおおよそ3回のチャンバーが必要とも言われたような気もする。
朦朧とした思考のまま厳しい現実に途方に暮れてしまった

海外保険には入っていないのか?

と聞かれ、「海外保険・・今回は入ってない・・」というと
待合席に放置されたままになりました。

いつもは海外保険入ってたのに・・今回短いから大丈夫と思ってたのに・・・
こんな時に限ってなんで?と後悔の嵐。

ふと

そういえば・・DANには入っていたはず。

と、財布に入っていたDANのカードを見せると

「これがあるなら大丈夫」

と言ってスタッフはにっこり
すぐに治療を受けさせてもらえました。

その時はなんというか
DANのカードに水戸黄門の印籠のようなパワーを感じました。

結局2回のチャンバー治療をして全快
半年間はダイビング禁止でしたが無事仕事に復活することができました。


DANは年会費を払えば1年間有効のダイビング専門保険
あの時はDANに救われました。

この件で支払い能力のない場合はどんな状況でも治療をしてもらえないという厳しい現実を実感。
ダイビングを続ける限りDANには入っていようと思いました。

体験談2:意識不明の重体でも治療は受けられない

私が働いていたダイブセンターであった実談です。

ダイビングの終わりセーフティストップの時、サンゴの中にいるハゼをAさんに見せるとOKサインを出しました。
しかしAさん、顔は正面を向いたまま撮影しようとしません。
もう一回ここだよと指すとしっかりOKサインを出すのですがそれだけで身動きをしない。
視線も宙を見ている感じがする。

なんか様子がおかしいと思いすぐに浮上することにしました。

その日のダイビングはAさんを入れてゲスト4名。ガイドは2名
浮上後、器材をすべて外してからボートに上がるシステムです。その時Aさんもいつものように自分で上がりました。

しかし、ボートに上がるとそのまま座り込み
「痛い・・頭が尋常じゃなく痛い・・・」

とうつむいたまま

嫌な予感がしたので吐き気はないですか?と聞くと

「吐き気はありません」と言ったとたんに吐いてしまった。

直感的に「脳だ!」と思い酸素を吸引させつつそのままダイブセンターへ

リヤカーで部屋まで連れて行きウェットスーツを脱がせ洋服を着せた。
その間、車に酸素ボトルを載せ病院へ行く準備
ここは僻地なので救急車を呼ぶだけで小一時間がかかってしまうから自社の車で行くしかありませんでした。

近くの診療所(1時間半)に連れて行くか
4~5時間かけてちゃんとした大きな病院に行くか

その場で判断しなければならず泣きそうになった。

診療所に連れて行けば私の責任はそこで終わるだろうけど
脳なら治療できずに最悪の状況になるのが目に見えている。
4~5時間かけて大きな病院に連れて行けば治療できる施設が整っているけど
連れて行っている間に最悪の状況になる可能性が高い。

とりあえず生きる可能性がある方をと大きな病院を目指すことに
ダイブセンターにあったありったけの現金(日本円にして約30万円分)と預かっていた貴重品をつかんで車に乗り込みました。

実はAさん受付フォームの保険確認の欄に保険加入なしと書いてありました。
ダイブセンターで入っている保険はダイビング時の事故には適応しますが疾病はカバーされていません。なのでとにかく現金を持って行きました。

結局5時間以上かかり病院へ到着
Aさんはぐったりしていましたがまだ意識がありました。

「脳です!絶対脳なので検査をしてください」

と医者に伝えると

「脳だと5時間ももつわけがない。脳じゃないよ」と取り合ってもらえませんでしたが
とにかく脳を調べるようにお願いした。

検査結果は「くも膜下出血」

結果が出た後も
5時間もつわけがない。奇跡だ。すぐに手術して治療を始めた方がいいというのですが
検査だけで私の持っていった現金はすべてなくなってしまい
支払い能力が確認されるまでそのままベッドに寝かされることになった。
(ベッドに寝かせてもらえるだけでもありがたいこと)

運よく日本人のスタッフがいる病院でしたのでその方に
ダイブセンターの保険に疾病が含まれないこと、Aさんが海外保険に入っていないことを相談すると

「財布を調べて。クレジットカードの保険があるかもしれない」

というので、
貴重品からクレジットカードを出して並べ
一つずつインターネットで緊急連絡電話番号を調べながら電話をかけて聞くことにした。

「クレジットナンバー〇〇〇のAですが、こちらのカード海外保険はついていますでしょうか。」

と聞くとほとんどのカードで

「申し訳ございません、こちらのカードに保険の付帯はございません」という返事。

たった一枚だけ

「こちらのカード海外保険は利用付帯になります。このカードでご旅行の料金などお支払いになりましたか?」

という返事が返ってきた。

もちろん私にはそんなことはわからないので
「ご本人が重体なのですがそちらで調べていただくことはできませんか」
と尋ねると確認して折り返し電話を頂けることになりました。

その後、飛行機の支払いをしていたことがわかり、望みはつながれました。

それから保険の手続きをするために本人確認・既往症がないかを調べなければならないそうで
意識朦朧ではあるが一応意識があるので電話での確認が行われました。
電話でいろいろ質問されているらしく「はい」「いいえ」・・・と15分以上受け答えをしていました。
その後審査に入るとのことで保険会社からの返事待ちとなりました。

その間、既往症の確認で薬を常備していないかなどの確認をしなくてはいけないらしく
後発で届いたAさんの荷物からピルケースを出し病院スタッフが薬を一つ一つ調べていました。
(特に常備薬などはないことが確定)

数時間後にカード会社からの返事があったのですが
「お電話での確認で既往症があるとのことでしたので保険はご利用不可能です」との返事

絶望していると、

病院の日本人スタッフの方が
薬を調べても常飲している薬はない。意識朦朧なので電話の返事で間違った返事をしてもおかしくない。など病状説明しながらカード会社を説得してくれて翌日になってどうにかカード保険利用を許可された。

丸一日なんの治療もしてもらえず寝かされたままでしたがやっと治療開始

しかし、その保険料も手術するには足りなく手術はできませんでした。
本当はすぐに手術すれば後遺症も少ないのだけれど・・・

その保険料でできる治療目標は病状を安定させて生きて日本に帰すことだけでした。

その後急変し意識がなくなりICUへ
ICUに入ったことで保険料もすぐに尽きてしまいましたが家族がいらしたことで帰国はできました。
しかし残念ながら後遺症は残ってしまいもうダイビングはできないそうです。


海外での手術はとんでもなく治療費がかかります。
また、保険の確認で時間がかかることでも手遅れになりかねません。

クレジットカードの保険の場合、治療費はカード枚数分足し算して使えるので海外保険付帯のカードを複数持っていると良いかもしれません。
そしてそれがすぐに分かるようにしておくことが大切です。

海外旅行保険ならば確実に短時間で手続きができるし保障も大きいので病院スタッフもそれが一番安心だと言っていました。

どちらにしても保険があることと契約ナンバー&緊急連絡先を現地のサービスなどに知らせておくことがとても重要です。

入っていた保険が無駄になることもあります

上記の体験談2つを読んで頂くとわかると思いますが
海外旅行に行く場合、一番大切なのは保険に入っていることですが
それと同じくらいに大切なのは自分に何かあった場合、使えるように準備しておくことです。

鞄の中に保険証書を入れておくだけでは
自分が動けなくなったとき=保険を使いたいときに使えません。
せっかく入っているのに使えないのなら保険に入っていないのと同じこと
無駄に保険料だけを払ったことになってしまいます。

ですから海外旅行に行った場合
信用できるダイブセンターなどに自分の保険情報・緊急連絡番号などを前もって知らせておく
または自分の身の回りに保険情報がすぐに分かるようなものを携帯しておく
などの工夫が必須です。

あまり考えたくありませんがダイビングで漂流などした場合
海外保険で捜索ヘリを飛ばせるはずなのに、保険証書が鞄の中で誰も保険に入っていることがわからずヘリを飛ばせない。その結果見つけてもらえなかったということも十分にありえるということです。

緊急時に素早く治療や手配を行ってもらうためにも保険情報は必ず自分以外の誰かに伝えておくことにしましょう。

まとめ

海外では支払い能力がないと治療などを受けられないのが常識
海外旅行・海外ダイビングに行くときは必ず海外保険やダイビング保険、クレジットカードの保険に入っておきましょう。
そしてその保険の情報は信頼できるダイブセンターに預けたり、携帯して緊急時にすぐに見つけて手配してもらえるように用意しておくことが大切です。

自分で保証書を提示できないくらいの緊急時に使えなければ保険の意味がありません。

日本の海外保険は少ない掛け金で大きな保証がある世界的に見てもとても優秀な保険です。

備えあれば憂いなし。

楽しい海外旅行・海外ダイビングを!!

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