ドリフトダイブと聞いただけで怖いと思っている方いませんか?
実はドリフトダイブにも大きく2つのスタイルがあります。
- 初級者や中級者が安心してできる優しいドリフトダイブ
- 上級者向けドリフトダイブ
激流ドリフトダイブこそがドリフトダイブという方もいますが
実際は初中級者向けの優しいドリフトダイブの場合が多いです。
私は海外のダイブサイトで優しいドリフトダイブポインㇳも激流ドリフトダイブポイントもガイドをしてきました。
その経験を元にこの記事ではドリフトダイブを楽しむための方法、コツ、注意点を解説したいと思います。
ドリフトダイブとは
ドリフトダイブとは潮の流れに乗るようにダイビングをすることです。
強い流れだけをイメージしがちですがほんの少しの流れもドリフトダイブと言います。
ドリフトダイブではエントリーポイントとエキジットポイントが別の場所になりますので普通のダイビングよりも広い範囲を潜ることが出来ます。
その為、大物などに遭遇する可能性も高くなります。
エキジットの際はダイバーのところにボートが寄せてきてピックアップすることになりますので、ブイ無しの安全停止などのスキルやうまくボートにエキジットするためのスキルが必要となります。
初中級者向け優しいドリフトダイブについて
海外の流れが比較的緩やかなポイントでのダイビングではほとんどこのスタイルになります。
流れに乗ってダイビングをするのでほとんど泳ぐ必要がなく、普通のダイビングよりも体力を使わないと感じる方も多いです。
ただ、ボートがブイなどにつながれていないのでフリー潜行・フリー浮上、安全停止(中性浮力)、スムーズなエキジットが必要となります。
初中級者向けドリフトダイブの詳しい方法・注意点
ダイバー
ドリフトダイブの方法
- エントリーし水面集合
- 全員そろったら潜行
- 流れに沿ってダイビング
- 全員そろって安全停止
- 全員そろって浮上しボートを待つ
- エキジット
*全員そろってチームワークで潜るのが一番大切です。
それぞれの場面での注意点は・・・・
- エントリーし水面集合
エントリー方法は2つ考えられます。- ブイでつないであった時のエントリーの場合
いつも通りゆっくりエントリー出来ます。 - ブイにつないでない場合
風でボートが流されたりするのでなるべく間をあけずにエントリーします。
- ブイでつないであった時のエントリーの場合
- 全員そろったら潜行
- ブイがあった場合
いつも通りでもOKですが、長距離を移動するのがドリフトダイブの醍醐味ですのでなるべく速やかに潜行できるようにしましょう。 - ブイがない場合
フリー潜行。ガイドをしっかり見てはぐれないようにしましょう。
- ブイがあった場合
- 流れに乗ってダイビング
- 流れに乗るので普通のダイビングよりもフィンキックは必要ではありません。
そのため普段中性浮力をフィンキックで補ってごまかしているダイバーだと中性浮力がとりづらくなったりするので注意 - ガイドを追い越さないように注意しましょう。
中性浮力を足に頼っている方はガイドより前に行きがちです。
どうしても前に行きがちの場合は脱力し少し体を丸める感じで仰向きに寝そべるようにしてフィンを前に出すようにすると(前でフィンキックもできる)速度がおさまります。 - 必ずガイドについていきましょう。
魚を追ったりして一人だけはぐれたり、他のチームについていったりしないようにしましょう。 - 水深はガイドに合わせましょう。
一人だけ深場に行ったりするとダイブプロフィールが変わってDECOが出て潜水時間が変わったり迷惑をかけることになります。 - 自分でもエアーチェックしましょう。
ガイドも時々確認しますが自分でも必ず確認し、少なくなったらガイドを待たず自分から申請しましょう。 - ガイドを見るのも大切ですが視野を広くして水中景観を楽しんで下さい。
大物が突然現れることもありますよ。
- 流れに乗るので普通のダイビングよりもフィンキックは必要ではありません。
- 全員そろって安全停止
- 中性浮力をしっかりとって安全停止しましょう。
水深計ばかり見ているとはぐれる可能性があるのでガイドの水深に揃えるようにすると良いでしょう。 - ガイドから安全停止のサインが出たらすぐに安全停止に入りましょう。
写真が撮りたいからと一人だけ残って安全停止に入らなかったりすると安全停止時間が伸びたり余計に流されたりして他のメンバーに迷惑をかけることになります。
- 中性浮力をしっかりとって安全停止しましょう。
- 全員そろって浮上しボートを待ちます。
- ガイドから浮上のサインが出たら必ず全員で浮上しましょう。
たまにボートが来るまで水中で待とうとする方がいますが一人でも水中にダイバーがいる場合、安全のためにボートは近づきません。
必ず全員で水面に浮上しましょう。 - 浮上したらボートの方を見ながらガイドのサインを待ちます。
ボートが見えてもすぐにボートには近づかずにガイドの近くでボートを見ながら待ちましょう。ガイドが安全と判断したら指示を出しますのでそれから近づくようにしましょう。
- ガイドから浮上のサインが出たら必ず全員で浮上しましょう。
- エキジットします。
エキジットの際ボートは浮いているだけですので風に流されたりする可能性があります。
慌てる必要はありませんが、おしゃべりなどせずに次々にエキジットしてください。
できるダイバーになる!安全のための知識
風が吹いている時はエキジットに注意!
初中級者向けのドリフトダイブポイントはリーフの近くを潜ることが多いです。
その場合、ポイントの浅場が水深数メートルから数十センチの場合があります。
エキジットの際にビーチの方向へ風が吹いている場合、エキジットをしている最中にどんどんボートがリーフの方に押されて座礁してしまう可能性があります。
ガイドもそういうことを考慮していると思いますが、ゲストであるあなたもその状況を理解して意識していればさらに安全ダイブにつながります。
上級者向けドリフトダイブについて
流れが特に早いダイビングポイントでのドリフトダイブです。
一般的に怖いと思われているのはこのタイプのドリフトダイブで上級者のドリフトダイブとされています。
時には流れに乗り、時には流れを横切ったりするのでそれなりの泳力と体力が必要です。
また、ダウンカレントやアップカレントにも対応しつつ中性浮力をコントロールしたり、チームワークで動くこと、エントリーエキジットも素早くできることが求められます。
上級者向けドリフトダイブの方法・注意点
ダイバー
上級者向けドリフトダイブの方法
- 一斉にエントリーそのまま潜行、水中集合する。
- 流れに沿ってダイビング。時には流れを横切ります。
- 全員揃って安全停止
- 全員揃って浮上
- ボートが来るのを待ちボートが来たら急いでエキジット
素早さ・チームワーク・体力が必要なドリフトダイビングです。
チーム全員が同じ位のスキルであることが理想
初中級者向けドリフトダイブのスキルがあるのが大前提となります。
それぞれの場面での注意点は・・・・
- 一斉にエントリーそのまま潜行、水中集合する
- ボートの形にもありますが、海外の小さ目のボートの場合「1・2・3・GO!」のサインで一斉にバックロールエントリーそのまま水中集合となります。
そのためエントリー前BCには空気を入れず両腕で押すようにして出来るだけ空気を抜いてから船べりに座ります。 - バックロールからすぐに潜行する
落ちたとたん(エントリーしたとたん)に体を伸ばしフィンキックして潜っていく感じです。水面には顔を出しません。
しばらくは泡で何も見えないかも知れませんがすぐに見えて来ますから直ちに目標物(ガイド・または隠れ根)に向かって泳ぎ出します。 - 潜行に失敗すると全員がやり直しになるのでウェイト忘れ、タンクのバルブ開け忘れなどないように潜行前にしっかり確認しましょう。
- ボートの形にもありますが、海外の小さ目のボートの場合「1・2・3・GO!」のサインで一斉にバックロールエントリーそのまま水中集合となります。
- 流れに沿ってダイビング。時には流れを横切ります。
基本的に強い流れには逆らえないので流れに乗るダイビングです。
しかし、決まった隠れ根などに移動するために流れを横切る場合もあります。
その場合、中層よりなるべく底に近い所を泳ぐと流れがマシな場合があります。
それでもフィンキックだけで進めない時は地面にある岩などをつかんだり、ナイフや棒を突き刺すようにして進むことも考えましょう。 - 全員そろって安全停止
安全停止もそうですがダイビングの最中はガイドのまわりからなるべく離れないようにしましょう。
強い流れがあるポイントでは数メートル離れると違う方向に流れている場合もあり、最初は少し離れただけのつもりでも遠く離されて別の方向に流されることもあります。
常にガイドの近くにいることが大切です。 - 全員そろって浮上
- ダイバーが一人でも水中にいる場合、ボートは安全のため近づいてきませんので必ずガイドのサインが出たら水面に顔を出しましょう。
- 水面でも流れがあるとダウンカレントが発生する場合があるのでBCにしっかり空気を入れましょう。
- ガイドから離れないようにガイドとボートの両方を見つつガイドの指示を待ちましょう。
- ボートが来るのを待ちボートが来たら急いでエキジット
ボートが見えてもガイドの指示があるまでガイドの近くで待ち、ガイドの指示が出たら素早くエキジットします。
流れと風が逆に吹いている場合などボートがどんどん離れたり迫ってきたり回ってしまったりして危険ですので急いでエキジットするようにしましょう。
上級者ドリフトダイブポイントで実際にあったNG談1
ブリーフィングで合図があったら流れに乗ってすぐに移動と話したのですが、その時の一人のゲストは「自分はすごい流れには慣れている」と言って話半分しか聞いてもらえませんでした。
実際潜ってみると合図をしてOKサインが出たにもかかわらずもそのゲストはリーフに捕まったまま動かきませんでした。
他のゲストはガイドに着いて来ていたのと逆戻りできる流れではなかったので結局そのダイブはそこで終了となりました。
後から話を聞いてみると、あんなすごい流れで手を離したらどうなっちゃうか心配で離せなかったとのこと。
いろいろなポイントを潜った経験があり自信があったとしてもしっかりブリーフィングを聞きガイドを信用して指示を守りましょう。
ドリフトダイブはチームワークが一番大切です。
上級者ドリフトダイブポイントで実際にあったNG談2
ダイビング終了し浮上後、水面でボートが来るのを待っていた時に2名のゲストが感想を話しながら少し離れていました。「こっちに来て!」と言った時には違う流れに持っていかれてあっという間に離されてしまいました。
ボートには先にそちらの2名をピックアップするように伝えて本隊の私たちは待ちました。
その短い間にボートが見えなくなるくらい違う方向に流されることになりました。
激流ポイントではエキジット完了するまでしっかりガイドの近くにいるようにし、気を抜かないことが大切です。
まとめ
ドリフトダイブは優しい初中級者向けのドリフトダイブと上級者向けのドリフトダイブがあります。
ほとんどのドリフトダイブは初中級者向けなのでドリフトダイブ自体を怖がる必要はありません。普通のポイントが特に問題なく潜れるようであればドリフトダイブに挑戦してみる価値は十分にあります。
激流ドリフトダイブはそれなりにスキルを求められるので普通のドリフトダイブの経験を積んでから挑戦することをおすすめします。現地ガイドもスキルが足りないゲストに無理やり進めることはないはずですので安心しましょう。
ドリフトダイブができるようになると今までよりも海の中の世界をたくさん体感できるようになりますよ。
楽しいダイビングを!!
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