エア消費を抑える方法を全部やってみても、どうしてもエア消費が多くて悩んでいるダイバーをたまに見かけます。
- もう自分はこれ以上エア消費を抑える事が出来ないんじゃないか?
- エアの少ない人と自分は一体何が違うんだ?
そんなふうにあきらめている方、大丈夫です!
私はダイビングインストラクター歴30年いろんなダイバーを見て教えて来ました。エアが極端に早い男性でもあるコツをつかめばちゃんと普通の消費量になります。
この記事ではエア消費量をぐんと減らす呼吸のコツとその理由を説明します。そのコツをつかめば誰もが普通のエア消費量に近づきます。
エア消費量が抑えられればダイビング時間いっぱい残圧に縛られることなく楽しいダイビングを続けることが出来ますよ。
これ以上エア消費を抑える事が出来ないんじゃないか?
大丈夫です!エア消費は必ず押さえることが出来るようになります!!
私はゲストのこの悩みを数多く解決してきました。
ゲスト以外にも何人もの研修ガイドの同じような悩みを解決し、立派なダイビングガイドに育て上げました。
エアの早いガイド研修生の話(実話)
実際にリゾートで研修をしていた巨体のガイド研修生(体重約90kg)の話です。
大男なのにちょこまか動く働き者でした。筋肉質で胸板が厚く見るからに空気をいっぱい吸いそうな体型。研修途中でエア消費がネックになることは軽く予想できました。
経験本数が100本を超えダイビングスキルもOK
ただエア消費量だけがいつまで経ってもクリアできませんでした。
「タンクのエア残量は30Barは残すように」と言っておいても、本人は長く潜りたいと努力しているようで毎回ほぼ残圧ゼロになってのエキジットしかもその時の潜水時間はたった30分くらいです。
おかげでタンクのメンテナンスが大変でした。(メモを参照)
私には彼でも呼吸をうまくすればそれほどエア消費せずに済むという確信がありました。
プロになろうとしているならば、私のように苦労をしてスキルを得たほうが彼の経験値も上がると思い、ギリギリまで
「自分で工夫して長く潜れるように努力して」
とはっぱをかけ、答えは教えずに様子を見ていました。
しかし、研修開始から数か月経ち経験本数が300本を超えても変化がありませんでした。
本人はどうせできないからとガイドになるのをあきらめ始めていたようです。
自分で工夫して頑張って欲しかったのですが、ダイブサービス的にも彼の成長を待てる時間がなくなっってしまったので仕方がなくある呼吸法を教えました。
すると・・・
呼吸法を教えたその日のダイブは
1本目から潜水時間50分越えが可能になりエア残圧も50Bar残っていました。
もともと努力家なのでその後も呼吸法を練習し、90分リサーチダイブダイブ(本当はそんなに長く潜っちゃいけない:汗)をしても50Bar残せるほど空気の消費量が減りました。
嘘のような本当の話です。
残圧はいくつ残さなくちゃダメ?
エアが早い方はタンクの空気を全部吸いたいと思うかもしれません。
しかしそれはタブー。タンクの残圧がゼロになるとタンク内部に水やほこりが入りやすくなるので、タンク内を洗浄するメンテナンスが必要になります。
タンクのことを考えると30Bar(最低でも20Bar。それ以下はメンテ必須)
ダイバーの安全性を考えたら50Barは残して安全停止に入ることが理想です。
即効性のある呼吸法
ダイビングの呼吸はゆっくり吐いてゆっくり吸う呼吸だと一般的に言われています。
講習などでよく教えられているフレーズは・・・
- 自然な呼吸をしましょう
- 3秒吸って3秒吐くようにゆっくり
- 吸う時間より吐く時間を長く
- ストローを使って呼吸する感じで細く長く
この動機付けで出来るようになる人もいると思いますがなかなか意識できなかったり効果が薄かったりです。
これらのものをやってみて出来なかった人はこれを試してみて下さい。
私がガイド研修生に教えた呼吸法です。
吸いたいだけ息を吸ってOK!
吐き始めは少なくゆっくり。
吐き終わりは自然に空気を吐き切る
吐き始めをコントロール出来ればエア消費は少なくなります。
実は吐き始めを少なくゆっくりするとその後早く吐くのが難しくなり自然とちょうどいい呼吸に近づきます。
たったこれだけで潜水時間30分でエアがゼロになっていた大男が、あっという間に50分潜っても50Barエアを残せるようになったのです。
注意!!
この呼吸法は「エア消費量が早くなる原因と抑えるコツ」をクリアしてもエア消費量を減らせない方のためのものです。一般的な原因をクリアしていないと出来ないことがあります。出来ているかどうかはこちらのページで確認してください。
エア消費が早くなる原因と抑えるコツ【ダイビング初心者の悩み】 | へなちょこダイバー南国を潜る (mydivehistory.com)
エア消費の少ない人と自分は一体何が違うんだろう?
エア消費の少ない人ってまるで鰓呼吸をしているように思えますよね。
でも同じ人間。体ではなくて他の何かが違うのです。
一見は百文に如かず!一度ダイビングで観察してみて下さい。
呼吸時の泡の出方を観察しましょう
一緒に潜っているダイバーのエア消費が多いか少ないかは観察すればすぐにわかります。
- エア消費の少ないダイバーは、吐き始めの泡がとても小さいです。
- エア消費の多いダイバーは、吐き始めの泡が強く大きくボン!と出ます。
ダイビングした時に自分の泡を観察してみて下さい。多分最初に大きな泡が出ているはずです。
是非最初は小さな泡を出すように試してみて下さい。
吐き始めの泡を小さく出すにはゆっくり少しだけ吐くというのがコツです。それは先に説明した呼吸法そのものになります。吐き始めの泡をコントロールするというのはいい練習の目安になります。
エア消費の少ないダイバーはこの呼吸法を自然に身に着けているのです。
エア消費が少なくなるコツ:効率的な呼吸をする仕組み
ダイビングでは効率的な呼吸が出来るということがエア消費を抑えるコツとなります。効率的な呼吸ならば少しの空気で苦しくないダイビングが出来ます。
呼吸をした時に体内で起こっていることは、肺の中に入った空気から酸素を取り込み二酸化炭素を排出しそれをしっかり入れ替えるという現象です。
酸素を取り込み二酸化炭素を排出するには、ある程度空気が肺にとどまっていることが必要です。
これを覚えておいてちょっと考えてみましょう。
ダイバー
不効率でエアが早い人の呼吸は吐き始めが強い
吐き始めが強い人は肺の中の大半の空気がすぐになくなってしまいます。
肺の中に沢山空気が入っている時間が短くなるので酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が効率よくできません。
そのためすぐに息苦しく感じます。
苦しいのでますます早く空気が吸いたくなりハッスッハッスッハッ・・・という早い呼吸になってしまうという訳です。
いっぱい空気を吸っている割に苦しく感じるのはこんな理由です。
ダイバー
効率的でエア消費の少ない人の呼吸は吐き始めが少ない
吐き始めを少なくすると肺の中に空気がたくさん入っている時間が長くなります。
肺の中に空気がある時間が長いので酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が効率良く進みます。
また、最後に自然に息を吐き切ることで次に息を吸う時には肺の中の大部分が新しい空気に入れ替わります。入れ替わることで酸素の取り込み、二酸化炭素の排出がさらにスムーズに
苦しくないので意識しなくても必要な分だけゆっくり空気を吸えるようになり、エア消費がぐんと減ります。
このダイビング呼吸法のもう一つ良い所
この呼吸法をマスターするとダイビングする上でもう一つ良いことがあります。
エア消費の早い方や初心者の方は感じたことがあると思うのですが
- なぜか他のダイバーは自分が近づくのがわかるみたいだ!?
- なんだか魚に避けれている気がする・・
- 上級者ダイバーはなんで魚にあんなり近づけるんだろう?
私もへなちょこダイバーだった頃はよくそう思っていましたが、いろんなゲストと潜るようになってその答えが見つかりました。
それは呼吸の排気音です。
初心者ダイバーやエア消費の早い方は排気音が大きいので近づいてくるのがわかります。
多分、海の中の魚たちも排気音、またはその振動の激しさで怖い侵入者と判定し、逃げ出すのだと思います。
最初の吐き始めが弱く排気音が小さい上級者は写真撮影していてもギリギリまで近づけます。
エア消費を抑えられるこの呼吸法をマスターすれば魚にもっと近寄れるようになり、もっと海に受け入れられた気分になれるはずです。
まとめ
ダイビングでは呼吸方法を間違えなければ90kgの大男でも空気の消費量は少なくて済みます。
体が大きいからとあきらめていた方も是非試してみて下さい。
エア消費を抑えるためには効率良く呼吸をすることが必要です。
- 肺の中で酸素の取り込み、二酸化炭素の排出をしっかりするために、肺の中に空気が入っている時間を作るような呼吸
- 肺の中の空気をしっかり入れ替えるためにしっかり吐き出す呼吸
が理想です。
その呼吸法は
吸いたいだけ息を吸ってOK!
吐き始めは少なくゆっくり。
吐き終わりは自然に空気を吐ききる
吐く息を制する者はダイビングを制します。
大袈裟に聞こえますが本当です。
試してみてエア消費が少なくなったという方
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楽しいダイビングを!
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