「可愛いお魚に見とれていたらまわりに誰もいなくなっていた」
この記事を読んでいる方の中にもそんな経験をした方いるのではないでしょうか。
その時にダイビングのルールを覚えていれば落ち着ついて対処ができますが
覚えていないと変に焦って泳ぎ回ってしまったり、最悪はパニックになってしまうことで事故につながります。
海外ガイド歴25年以上の私はそういうゲストを出さないように注意・工夫してきました。
この記事では万国共通であるロストした場合のルールとその時の心構えと対処法を解説します。
これからのダイビングに役立ててください。
知らないダイブスポットでもこれを知っておけば安心です。
必ず覚えておくべきロストした時の基本の対処法
ダイビングの教科書にも書いてある共通ルールは
ダイバー
- 1分間その場で待つ
- 誰も戻ってこなければ浮上
- 水面で他のダイバーを待つ
ロストしたらまず「1分間その場で待つ」の時の心構えと対処法
まずは心を落ち着けましょう。
ロストしたからと言ってその場ですぐに事故になるということはありません。
事故になるのは慌ててむやみに泳いでしまい息が荒くなったり苦しくなったり最悪パニックを起こしてしまったりした場合なのです。
大切なのは焦って動き回ったりせずそれまでと同じ呼吸のままその場にいることです。
待っていればあなたがいないことに気づいてガイドやバディが戻ってくるかもしれません。
1分間待ちながら周りを見回しましょう。
ダイビングマスクには死角が多く真後ろや真上に他のダイバーが居ても見えないことがあります。
もし、音を出せるものを持っているならば音を出すのも良いです。他のダイバーがいないことに気づいてくれるでしょう。
1分の間、後ろを振り返ったり上を見たり周りを見渡しながら他のダイバーの姿を探しましょう。
もしライトを持っているならばライトを点けてまわりに見えるようにするのもよいです。
「誰も戻ってこなければ浮上」の時の心構えと対処法
1分間待っても誰も戻って来る気配がなければ落ち着いて浮上しましょう。
もしかしたらあなたがいないことに気づいて水面でバディやガイドが待っているかもしれません。
浮上の際はいつも通りゆっくりと浮上速度を守ります。
浮上速度の目安はダイブコンピュータを見てもいいですが視野を広くとっておきたいので自分が吐く一番小さな泡を追い越さない程度に浮上するのが良いでしょう。
ゆっくりと浮上する際、360度回るようにまわりを見ながら浮上すると他のダイバーの泡が見えてくる場合があります。見えてきた場合はそちらに向かって泳ぎましょう。
何も見えてこないようならそのままセーフティストップはせずに浮上します。
*セーフティストップはDECOストップと違って念のためのストップなので緊急時は無視して大丈夫です。
「水面で他のダイバーを待つ」の心構えと対処法
水面に来たらまずBCに空気を入れて浮力を確保します。
浮力さえ確保できていればエア切れの心配もDECOの心配もないですからもう安心です。
水面が静かだと、もしかしたら他のダイバーの泡が見えるかもしれません。
近くにボートなどがあれば他のダイバーの泡が見えないか聞いてみるのも良いでしょう。
泡があるようならボート上の人とコンタクトをとりつつ泡の方に泳いでいきます。
他に潜っているチームがいないなら泡を頼りに潜行します。
他のチームがいるようでしたら念のために泡のあるところでガイドまたはバディが上がってくるのを待つと良いでしょう。
泡も見えなく、ボートなども無い場合はその場でガイドまたはバディが上がってくるのを待ちます。
近くにブイなど固定されたものがあるならそこで待つのが安全です。
ガイドまたはバディと出会えず、ボートもまわりにいない場合はシグナルフロートを立てましょう。
遠くにボートがある場合は笛やホーンを使い呼びましょう。
【実際にあったロストの話】
水中でマクロ撮影に夢中になったAさん我に返ると他のダイバーの姿がなくて焦ったようです。
しかし、私と他のゲストは彼女のちょうど後ろで他の魚を観察していました。
Aさんは前方だけを確認し誰もいないと思ったのかそのまま前に向かって泳ぎ始めました。私が気づきタンクをたたきながら追いかけましたがAさんはますますフィンキックを早め反対方向に泳いでいきました。
やっとのことで追いつきAさんを止めて元のグループに戻ることが出来ましたが私が気付くのが遅かったら追いつけないほど離れてしまったかもしれません。
ポイント
確認する場合は前方のみでなく真後ろも360度確認しましょう。
【海外でありがちなロストの話】
有名なポイントで他のチームとすれ違いました。
嫌な予感がしたのでゲストの人数を数えるとやはり2名増えていました。
そのゲストは自分のガイドやチームを覚えていなかったようで「あなたのガイドはあちらです」とボードに書いても理解してもらえませんでした。
あちらのガイドはそのまま泳ぎ去ってしまったので仕方がなくそのゲストも一緒にダイビングを終わらせエキジット。彼らのボートに連れて行きました。
あちらのチームのシステムは「道しるべガイド」で基本バディダイブ。人数はエキジットの時に数えるスタイルなのでついてこなくても気にしません。
ポイント
海外の場合、必ずガイドが連れていくシステムではない場合がありますのでブリーフィングなどでよく確認をしましょう。約束のエキジットポイントまで自分で行けない場合はロストの基本の対処法を思い出して落ち着いてエキジットしボートを呼びましょう。
ダイブスポット・サービスによってはルールが違う場合があるので注意
ダイブスポットによってはダイビングスタイルの違いでルールが違う場合があります。
特に海外ではガイドは道案内はするけど基本バディダイブでというところは少なくありません。
その場合ガイドとはぐれてもバディとダイビングを続行するのが普通です。
そのようなダイブサービスの場合はブリーフィングでしっかり地形を把握しておくことが必要です。
*日本人経営の場合はちゃんとガイドしてくれることが多いです。
日本人経営のダイブサービスでもイレギュラーな場合があります。
例えばあまり透明度が良くない+写真撮影をするゲストが沢山いるサービスの場合
前もってブリーフィングで「被写体のところにあなたを残して他のゲストを連れて行ったあと戻って来ます。」とか「撮影中ロストしたと思ってもその場から動かないで」と言われることがあります。
その場合はガイドがしっかり誰をどこに残してきたかを把握しているはずなのでガイドの言うことを聞きましょう。
まとめ
ダイバーなら誰れも可能性があるロスト
ロストになったから必ず事故になるということはありません。
事故になるのはロストの対処法を知らず、慌ててパニックになったりすることが一番の原因です。
いろいろな海、知らない海をたくさん潜るようになって心に余裕ができるとロストに合う可能性は大きくなるものです。
ロストの対処法を普段からしっかり理解して備えておきましょう。
安全に楽しいダイビングを!
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