ダイビングの講習で最初にやって来る壁がマスククリア
- なんでマスクに水が入っちゃうの?
- 海の中で目を開けると痛いし鼻も痛いから嫌!!
- マスクをとるとパニックになってしまいそうになる・・・
その気持ちよくわかります。
今となってはインストラクター歴30年以上マスククリアは簡単になりましたが
ダイビングを始めた時は私もマスククリアが最終日までできなかったへなちょこダイバー
皆さんと同じ気持ちでした。
実はちょっとしたコツと練習でマスククリアは落ち着いて楽に出来るようになります。
この記事では苦手なマスククリアのコツやトレーニングのやり方を私が克服した経験を含めて解説します。
マスククリアが楽に出来るようになると
安心してダイビングが楽しめますよ。
初心者が一番怖がるスキル:マスククリアとは
マスククリアとはマスクの中に入ってしまった水を水中で外に出すスキルの事です。
慣れてくれると意識せずに出来るほど簡単なスキルですが初心者にとってはマスクの中に水が入ること自体がストレスになり怖く感じる方がほとんど
「マスククリアなんて練習したくない・・・」と言う気持ちはよくわかります。
しかし、実際にダイビングをしていると多かれ少なかれ必ずマスクの中に水が入るもの
そんな時にマスクの中の水を出せない方がもっと怖いしストレスです。
水が出せなくてパニックになってしまうと危険ですし、水が入るたびに浮上してマスク内の水を出すわけにもいきません。
そのためにマスククリアは絶対に必要なスキルなのです。
マスククリアが必要になる原因(マスクに水に入る原因)
- 表情が変わる時(特に笑うと入りやすい)
- 鼻から空気を吐いてしまいマスクがずれてしまった時
- 前の人のフィンが当たったりしてマスクが外れてしまった時(かなり稀)
- 顔にマスクがフィットしていない
覚えておいてほしいのはダイビングをしていると多かれ少なかれ必ず水が入ること。
鼻の下くらいまで水が入っているのはまだまだ普通の状態
目の下まで水が入ってきた場合はマスククリアが必須です。
マスクが全部外れるという場面はとても少ないですが
可愛いお魚を見て笑顔がこぼれる度に水が入ってきてしてしまうのはちょっと困りますよね。
楽しいダイビングの為にもマスククリアは完璧に取得しておきたいテクニックです。
顔にフィットするマスクを見つける方法
本当に自分の顔に合うマスクを見つけられると水も入りにくいしマスククリアも簡単にできます。
顔に合うマスクを選ぶには
マスクをストラップ無しでつけてみて息を吸い顔に張り付くか?
上下左右に振ってみても落ちなければOK
と一般的に言われていますが
日本で売っているほとんどのマスクはシリコンが優秀なのでこれをクリアします。
本当にフィットするマスクを選ぶ方法は
顔にマスクを正しい位置にそっと置くようにして
- 顔一周の隙間がなるべく少ない。
(特に頬骨から上には隙間がないこと) - 目じりにマスクのスカートの端が当たらないこと
- 髪の毛の生え際がなるべくスカートにかからないこと
(少しかかるくらいならなら問題なし) - 鼻がしっかりつまめること
これらを確認すると顔の形に本当にフィットするマスクを選ぶことができます。
*顔に合うマスク以外のマスクを選ぶ確認ポイントは別記事にしたいと思います。
マスククリアはどうしてマスクの中の水が出るのか?その原理
マスクの中に入ってしまった「水を出す」のがマスククリア
陸上だとマスクをひっくり返して水を出すようなイメージですが、水中の場合はマスクの中の水を空気に入れ替える動作になります。
水が入っているグラスに下からストローで空気を入れられるのと同じで
マスクの空間に鼻から空気を出し、空気をいっぱい溜めていくのがマスククリア
空気は下から上に上がりながら溜まっていくのでマスクの上部に隙間があると空気は溜まりません。
逆にマスクの下の部分に出口がないと余分な水が出ていけないので下には隙間が必要です。
基本的なマスククリアの方法&コツ
マスククリアは大きく分けて3つの動作があります。
- マスクの上の部分を押さえる
- 鼻から空気を出す
- 空気を出しながらゆっくり上を向く
それぞれ詳しく説明します。
マスクの上の部分を押さえる:押さえ方がコツ
【テキストに書いてあること】
鼻から出した空気がマスクの上の部分から漏れないようにマスクのフレームを押さえます。
空気が出ないようにするだけなので強く押す必要はありません。
ここで気を付けたいのはギュッとマスクのフレームを押し過ぎてマスクがずれてしまうこと
マスクの中に空気を入れていくとただでさえマスク自体に浮力がかかっています。
その上慣れない方がむやみにギュッと押さえるとマスクが上にずれてしまうことになり
その結果、鼻がマスクからはみ出てしまい一生懸命鼻から空気を出してもマスクの中に溜まらなくなりマスククリアを失敗するのです。
初心者がマスククリアでマスクを押さえるコツーおすすめ!
マスクを前から押そうとするとどうしても上方向に押してしまいがち
コツがわからないうちは次のような押さえ方をおすすめします。
イラストのように脇を開けて敬礼のような手のポジションをとります。
マスクのフレームの角を中指(人差し指)全体で触ります。
そのまま斜め内側(目がある方向)へマスクを密着させるくらいの弱い力で押さえると失敗なくマスクを押さえられてマスククリアが成功します。
ダイバー
初心者がマスククリアを成功させるコツは
敬礼の状態から中指全体でフレームの角を自分の目に向かって押すこと
鼻から空気を出します:最初は鼻から空気が出ればそれで良い
【講習やテキストに書いてあること】
「ゆっくりとハミングするように鼻から空気を出します」
やっと口呼吸に慣れたのに今度は鼻から空気を出さないといけないので慣れない方は混乱してしまいがちです。頭で考えながら口で吸ってから鼻で吐くようにコントロールしましょう。
ただ、ゆっくり吐くことはあまり意識しなくてもOK
実際はブッと強く吐き出しても水は抜けるので大丈夫です
ダイバー
初心者におすすめのコツ!!
空気をゆっくり出せれば鼻の先部分にたまった水までもすっきり綺麗に出すことができますが、最初はマスクの中の大半の水を出せれば良いのでとにかく鼻から空気を出すことだけを一番に考えましょう。
鼻から空気を出しながら少しづつ上を向く:最初は下さえ向かなければよい
【講習やテキストに書いてあること】
マスクの中に空気がたまりやすいように少しづつ上を向くとすっきり水が抜けます。
抜けない場合は何度も繰り返します。
完璧なマスククリアはこれが理想です。
しかし実際は上を向かなくても下さえ向いていなければ大半の水はマスクから抜けます。
ダイバー
初心者におすすめのコツ!!
マスクの中の水の大半が抜ければ良しなのでそれほど上を向くことにこだわらなくても大丈夫です。
ただし、空気は上にたまりますから顔が下を向いているとマスクが鼻より下になり空気がたまりません。少なくとも下は向かず正面を向いて鼻から空気を出しましょう。
マスククリアを効率よくする方法
マスクに空気をためて水を出すには下側に水の出口があると効率が良いです。
人差し指と中指でフレームを下向きに押さえ、親指を使ってマスク下側に2~3㎜隙間を作るとマスクの中の水が出やすくなり楽にマスククリアが出来るようになります。
マスククリアでよくある失敗とその原因とは
マスククリアが出来ない人が失敗しているポイントは
- マスクが正確な位置でつけられていない。
- マスクを押さえる時にマスクがずり上がってしまう。
- マスクストラップがきつすぎる
- 鼻から吐いているつもりが口から吐いている
と言うことがほとんどです。
私が初めて「マスククリアが出来た!」と思った時も半分しか水が抜けていなかったので本当に悩みました。
自分で試行錯誤を重ねてたどり着いた結論はマスクが正しい位置に無かったということです。
正しい位置にないとマスククリアの時に鼻からの空気を効率よくマスクに入れることが出来ないので、半分しかマスククリアが出来ないということになるのです。
マスクが正確な位置についていないとマスククリアは出来ない
初心者にありがちなのですがご本人はちゃんとマスクをつけているつもりが水中で見ると上にずり上がってしまっているという方が多いです。
マスクの正しい位置というのはマスクのスカートが上唇に触るくらい。
また、マスクを正確な位置に保つにはストラップの位置も大切です。
ストラップの位置が悪いと空間に空気が入っているマスクは簡単にずり上がってしまいます。
マスクのストラップは下がりすぎないように注意
正しい位置は耳の上を通ってそのまま水平または少し上がり気味
女性の場合は髪の毛の結び目などを利用して下がらないようにするのも良いと思います。
マスクの正しい位置はスカートの下の部分が上唇に触るくらいの位置です。
鼻の下ではありません!
水中ではマスク中の空気の浮力でマスクが若干浮き上がります。
鼻の下の位置でつけた場合、水中では上にずれて鼻の穴が少し外に出てしまうことになりマスククリアが難しくなります。
セットする時は上唇に触るか触らないかの位置を意識しましょう。
また、マスクのストラップは耳の上を通ってそのまま水平または少し上がり気味にするのがコツ。
マスクをずり上げてしまうと空気が逃げてマスククリアが出来ない
マスククリアでマスクの上を押さえるのは鼻から出た空気をマスクの上から逃がさないためです。
ですからギュッと押さえる必要ななくマスクがおでこに密閉さえしていれば大丈夫です。
おでこにマスクを密閉させるにはおでこに垂直または下向きに抑えるのが一番
上向きに抑えるともともと空気の浮力で持ち上がり気味のマスクがますます上にずり上がってしまうことになります。
ずり上がったマスクは鼻の穴が外に出てしまい、いくら鼻から空気を出しても外に漏れます。
最終的にマスククリアは失敗することになります。
マスクのストラップがきつすぎるとマスククリアは出来ません
初心者にありがちなのですが水が入らないようにストラップをがちがちに締めてしまうこと
イメージ的にはきつく締めている方が水が入らない感じがしますがストラップをきつくすることでスカートの柔軟性が失われフィット感が悪くなりマスクに水が入りやすくなります。
更にきついことでマスククリアをする時、水が出て行く隙間を下側に作りにくくなるので水が出ずマスククリアを失敗する原因になります。
ストラップをきつくしすぎないことはとても大切です。
丁度良いストラップのサイズ感はマスクをした状態でマスクフレームを軽く上下に動かした際、上にも下にも隙間が2mm位できる程度です。
また、ダイビング後にマスクの形が顔にくっきり残る場合はきつすぎる可能性があります。
鼻から吐いているつもりが口から吐いてしまう
一生懸命口呼吸を練習して口だけでの呼吸に慣れたばかりで今度は鼻から空気を出すとなると混乱するのは当たり前です。
人間普通は鼻は空気を吸う器官。それを全く逆に使うというのですから。
最初はいちいち頭で考えて口で吸って・・・口で吐いて・・・今度は口で吸って・・・鼻で吐いて・・と慣れていくしかありません。
器用な方はすぐにマスターできますがそうでない人の方が大半。
私もその一人でしたので苦労しました。
そんな方は次の項目の呼吸トレーニングを是非試してみて下さい。
マスククリアが怖い方におすすめの呼吸トレーニング
海の中でマスクをとるなんて想像しただけでもダメ・・・という方多いと思います。
私もそうでした。
安全なダイビングの為にはどうしても必要なマスククリア
落ち着いてやれば大丈夫って言われるけどどうやって落ち着けばいいのかがわからない・・・
マスククリアが怖い一番の原因は目が見えなくなってしまうことではありません。
鼻がオープンになったことで呼吸をどうしていいかわからなくなりパニックになってしまうこと
私は水中での呼吸法をしっかり身に着けることで落ち着いてマスククリアができるようになりました。
その呼吸法のイメージトレーニングをご紹介したいと思います。
マスククリアでパニックにならないイメージトレーニングのやり方
まず頭に入れておきたい大原則が
口:呼吸(息を吸ったり吐いたり)をする
鼻:時々空気を吐くだけ絶対に吸わない
覚えておいてくださいね。
どこででもできるダイビング呼吸法のイメージトレーニング
どのトレーニングも口を1㎝位開けたまま行います。
(マスクとスノーケルをつけて行えば更にGOODです。)
口を開けたままでも鼻から吐けるようになるのが重要なポイントです。
- まず口だけ呼吸の練習(スクーバダイビングの普通の呼吸)
口だけで吸って吐いてを繰り返す。
*その際鼻から吸ってしまいそうだったら最初は鼻をつまんでみても良い - 次に口から吸って鼻から吐く練習
口で吸って…鼻で吐くというのを続けてみる - マスククリアを想定した呼吸の練習
1の呼吸を3セット続けた後、4セット目は口で吸った後鼻から吐いてみる。(口は閉じない)
鼻から吐くところまで出来たらまた1の呼吸に戻すを繰り返す。
*ポイント*
1)鼻と口両方から吐かないこと
2)鼻から吐いた後、鼻から吸わないように口呼吸に戻すこと
(鼻から吸うと水中の場合水が入ってきます。注意!)
これが自然に出来るようになっただけでもマスククリアが落ち着いてできるようになりますが
それでもやっぱり心配、水に入ったら怖くてパニックになってしまいそうという方はもう1ランク難易度を上げてお風呂でのトレーニングをお勧めします。
お風呂で私がやったのはマスク無しスノーケリング呼吸。忍者になった気分でやりました。
絶対自信が付くお風呂の中でのマスク無しスノーケリング呼吸法 おすすめ!!
基本的に陸編のトレーニングを水中でやる感じです。
- スノーケルをくわえてお風呂の中に顔(鼻までで良い)を入れます。
- スノーケルで呼吸をします。その時鼻から吸わないように注意
*この時はお風呂の水面に泡が出ていないのが正解 - 慣れてきたら口で吸って鼻で吐く
*水面に泡が出ていれば鼻から吐けている証拠です。 - マスククリアを想定して口呼吸4回の後1回鼻から出すを繰り返してみる。
*自由自在に呼吸を操れるようになったらOK!
*毎回鼻から吐く癖がつくと海の中ではマスクが曇りやすくずれやすくなるので気をつけましょう
お風呂の中に顔まで入れて目を開けている方が練習になると思いますが最初は無理は禁物
自信がついたらやってみるのも良いでしょう。
顔まで入れる場合、目は閉じていても大丈夫です。
これが出来るようになるとマスクがなくても呼吸が出来る感覚がつかめるので落ち着いてマスククリアに臨めるようになります。
テキストには載っていないマスククリアのちょっとしたコツ
マスククリアの時によく聞くゲストの悩みは
目が痛くて嫌
マスクをとったとたんに鼻から水が入って痛い
鼻から吸ってしまい鼻が痛くなる
ということ。
ちょっとしたコツを知れば今までより楽にやりこなすことができます。
海の中で目を開けると目が痛いときには
海の中で目を開けた時、裸眼では視界が悪いので無意識にたくさんまばたきをしていませんか?
本来まばたきは目の渇きを押さえるためのもの。水中で目の渇きはないのでまばたき自体の必要ありません。しかも海の水は人間の涙と同じ位の塩分なので塩分自体が痛みの原因とは言えません。
しかし、それでも痛みを感じるのは塩分の他にも目に見えない位のプランクトンや異物があり、まばたきをすることでそれらが目の中でゴロゴロとして目が痛くなるというわけです。
このような理由からまばたきを少なくすることで目の痛みをかなり和らげることが出来ます。
マスクをとったとたんに鼻に水が入ってしまう
マスクの中に水を入れる時、またはマスクを外す時に鼻に水が入ってしまうという方は多いと思います。
それは今まで空気があったところに水が浸入してしまうので圧力の不均衡が起こり鼻に水が入りやすい状態になってしまうからです。
マスクに水を入れるまたはマスクを外す時に鼻からフンと少しだけ息を出すようにすると水が入らなくなります。(次項目のトレーニング方法参照)
鼻が痛くならないようにするには水中での呼吸法を習得する
鼻が痛くなるのは鼻から水を吸ってしまっているから
自分では水を吸ったつもりがなくても水が入りやすくなっています。
それは陸上で人間は「鼻=空気を吸う器官」だからです。
でも水中の場合
口=空気を吸い吐きする器官
鼻=時々空気を出す器官(絶対に吸わない)
鼻の使い方は陸上とは全く違う使い方になります。
プールなどで泳いでいる方だと鼻から吐く癖がついていますがそうでない人は意識をしなければ鼻から水が入って来てしまうことになり鼻が痛くなってしまうのです。
慣れるためには少し練習が必要です。
鼻に水が入らないための口呼吸トレーニング方法
口呼吸はダイビングの基本の呼吸です。
少し喉が渇きますが鼻が詰まった時を想像しつつ口で呼吸してみて下さい。最初は鼻をつまんで呼吸をするのも良いと思います。
もし出来るならマスク使いましょう。マスクをしたまま呼吸を続けてください。
マスクをとる時に鼻に水が入る方がほとんどなのでマスクをとる瞬間だけ鼻からフンと空気を出せれば完璧です。その後鼻から吸わないのが大切。すぐに口呼吸を続けます。
一度に全部うまくやろうとせずにできることから慣らしていくのが上達のコツです。
まとめ
マスククリアはとても重要なスキル
今は苦手でも必ずできるようになります。
難しく考えている方も多いですが
マスククリアってマスクの中に鼻から空気を入れるだけでOKなのです。
こんなことを書くと他のインストラクターさんに怒られるかもしれませんが
講習で習ったように
マスククリアの時上を向かなくても下さえ向かなければマスククリアは出来ます。
そして鼻から吐くのもゆっくりでなくてブッと吐いてしまってもマスククリアは出来ます。
経験を積むたびにこんなに簡単だったっけ!と感じるようになります。
まずは難しく考えずに呼吸法を身に着けたらマスククリアにチャレンジしてみて下さい。
楽しいダイビングを!!
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