せっかく海外に潜りに行くなら綺麗な海と大物を是非狙いたいというあなた
雑誌やネットの情報では「初心者でも大丈夫!」と書いてあっても
実はある程度のスキルがないとちゃんと楽しめないというスポットがあることをご存知でしょうか。
私はいろいろなダイブスポットのダイブガイドを転々とし経験してきて
「潜れはしたけど・・怖かった・・」
と涙を流したゲストを何人も見てきました。
お休みをいっぱい貯めてお金もいっぱい貯めて海外ダイビングに臨んだのに
大物は目の前にいたけど怖い思い出の方が残ってしまった
そんなことが皆さんに起こらないようにこの記事を書こうと思いました。
この記事ではワイドポイント・大物ポイントで必要なスキル、知っておいた方がいことを解説します。
ワイド・大物スポットのためのスキルチェック!あなたは出来ますか?
1 | 潜行について | ボートエントリー後水面で一反落ち着けばスムースに潜行できる | A |
ボートエントリーのまま水面に顔を出さずに潜行できる | B | ||
2 | 中性浮力について | ダイビング中誰の助けも要らず浮き上がったり着底もせずに中性浮力を保つことができる | A |
移動しない時はフィンを使わず中層にいつまでも浮いていられる | B | ||
3 | 泳力について | 他のダイバーは泳ぐのが早いなあと感じることはない | A |
もっと早く泳ぎたいと思ったり多少の流れなら向かって泳げる自信がある | B | ||
4 | 安全停止について | 目で見て目標となるものがあれば安全停止できる | A |
流れていても自分で水深を保ち安全停止できる | B | ||
5 | エキジットについて | 誰にも手伝ってもらわずエキジットできる | A |
急いでと言われても、落ち着いて急いでエキジット出来る | B |
Aの状態は初心者卒業レベル
流れの少ないワイドポイントであれば安全に潜れるでしょう。
Bの状態は中級者レベル
流れがある大物ポイントを挑戦してみても良いスキル。
Aが多ければ流れの少ないワイドスポットにまずは挑戦し
スキルがあがりBが多くなれば流れがある大物ポイントにも挑戦してみると良いでしょう。
ワイドスポット・大物スポットとは
この記事ではダイビング中の視線が基本上向きで移動が多いスポットをワイド・大物スポットとして解説しています。
比較的透明度が良く珊瑚が綺麗、地形がダイナミック、魚影が濃い、大物がいる、そんなワイド・大物スポットは世界中にたくさんあります。
これを読んでいる皆さんの中にはそう言ったポイントは流れがあるのが当たり前と思われる方もいるかもしれませんが必ずしもそうではないので安心してください。
もちろん、魚影や大物を狙うのであればある程度流れに対するスキルも必要になります。
それぞれ必要なスキルが違ってきますので
*少しだけ流れのあるスポットを:ワイドスポット(初中級者向け)
*特に流れのあるスポットを:大物スポット(上級者向け)
として解説したいと思います。
ワイド派(初中級者)向け人気スポットの例
- シパダン(マレーシア)
- ボホール(フィリピン)
- メナド(インドネシア)
大物派(上級者)向け人気スポットの例
- ペリリュー(パラオ共和国)
- ヌサペニダ(インドネシア)
- コモド(インドネシア)
ワイド派スポット・大物派スポットともに潜るポイントによりそれぞれ難易度が違います。
ガイドのブリーフィングをしっかり聞いてダイビングしましょう。
ワイド派・大物派スポットを安心して楽しめるダイビングスキルとは
よく何本くらい潜っていたら大丈夫ですか?という質問を受けます。
しかし、正直なところ本数でその人のスキルは測れません。
それぞれのスキルが安定してできるかどうかが重要になります。
まずは初心者向けスポットを潜るためのスキルをクリアしていることが大前提です。
初心者向けスポットスキルを確認したい方はこちらの記事を読んでみて下さい。
海外ダイブに行くなら習得しておきたい10のダイビングスキル!【初心者スポット編】
ワイド・大物スポットではある程度流れのあるポイントが多く着底したりじっとして心を落ち着かせる時間などありません。
そのため普通のポイントでエントリーからエキジットまで捕まったり着底したりしないスキル。
そして少しの流れであれば余裕がありストレスなく潜れる経験値があるのが需要です。
ダイバー
ワイド・大物スポットを潜るため必要なスキルとは
- ドリフトダイブのスキル・知識がある
*流れ無しのポイント(初中級者)
*流れがあるポイント(上級者) - ある程度の泳力と水深を保てる中性浮力
- ダウンカレント・アップカレントの知識・対処法を知っている
- カレントフックを使える
- フロートを水面で上げることができる
フロートを水中から上げることができる(上級者)
流れがあっても自分のことは自分で出来るスキルと知識があることが望ましいです。
ドリフトダイブのスキル・知識がある
ドリフトダイビングと聞くと激流ダイビングでハードなダイビングと思っている方も多いかもしれません。
実は流れがそれ程なくてエントリーとエキジットの場所が違うだけというのもドリフトダイビングといいます。
気持ちの良い流れに乗って行くだけ、そしてエキジットはボートが迎えに来てくれるダイビング。
初心者でもドリフトダイビングの基本さえマスターしてしまえば、とても楽なダイビングだと感じるはずです。
ドリフトダイビングの基本スキル:流れ無しのポイント(初中級者)
海外でのボートダイビングではほとんどがこのスタイルになります。
しっかりと覚えておきましょう。
ダイバー
ドリフトダイビングの基本スキル
- エントリーし水面集合
- 全員揃ったら潜行
- 流れに沿ってダイビング
- 全員揃って安全停止
- 全員揃って浮上
- ボートが来るのを待ちエキジット
流れが少ないポイントではゆっくりエントリー、水面集合ができますので慌てることはありません。
ただ、少しでも流れがある場合はなるべく間をあけず次々とエントリーを心がけましょう。
流れに沿ってダイビングするので一生懸命フィンキックする必要はありませんが、その分フィンキックをしないでも中性浮力をしっかり保つということが大切です。ガイドを追い越してしまわないように注意しましょう。
ドリフトダイビングの間は終始チームワーク。全員が一緒にいることが大切。
安全停止も一緒に行います。
エキジットの際も全員揃ってエキジットします。
時々、ボートが来るまで潜ったまま待とうとするダイバーを見かけますが潜っているダイバーがいるうちは安全のためにボートは近づいてこないのが常識です。
必ずみんなと一緒にエキジットしてガイドの近くでボートが来るのを待つようにしましょう。
ボートが近づいてきたらガイドの指示を待ってからボートに近づきエキジットします。
詳しいドリフトダイブの方法の解説はこちらのページを参照にしてください。
【初中級者向けドリフトダイブ】と【上級者向けドリフトダイブ】の方法・注意点
ドリフトダイビングのスキル:流れがあるポイント(上級者)
流れのあるポイントではとにかくチームワークで潜れるスキルが重要です。
エントリー・潜行・エキジットには特に早さを求められます。
ダイバー
上級者向けドリフトダイビングスキル
- 一斉にエントリーそのまま潜行、水中集合できる。
- 流れに沿ってダイビング。時には流れを横切ることもあり
- 全員揃って安全停止
- 全員揃ってエキジット
- ボートが来るのを待ちボートが来たら急いでエキジット
ポイントにより水面集合する場合もありますが、本当に流れの早いポイントでは全員で1・2・3・GO!で一斉にエントリーしそのまま水中(指示された水深)で集合となります。
耳抜きができない・ウェイトを忘れたなど潜行できない場合は全員でエントリーをやり直すか、できなかった人だけでボートに戻るかになります。
基本的に流れに沿ったダイビングとなりますが、コースから外れないように流れを横切ることもあります。その場合、フィンキックの力で横切るか岩などに捕まって移動することになります。
ブリーフィングを良く聞きましょう。
流れの早いポイントでは数メートル離れると違う流れになっていることもあるのでなるべくガイドの近くにいるようにしてチーム全員が離ればなれにならないように気をつけましょう。
浮上後もガイドの近くに集まりボートが来るのを待ってエキジットします。このときもガイドの指示をよく聞き素早くエキジットしましょう。
詳しいドリフトダイブの方法の解説はこちらのページを参照にしてください。
【初中級者向けドリフトダイブ】と【上級者向けドリフトダイブ】の方法・注意点
もしもの時にあわてないですむ泳力
基本的に流れがある場合には流れに沿ってのダイビングを目指すのですが、たまたま潮が変わってしまったりでどうしても流れに向かって泳がなければいけない場合が起ります。
そう言ったときに、全く泳力がないとついていけずロストになってしまいます。
また、大物が出た時にダッシュをすることもあります。
普段からフィンキックでダッシュしてみたり少し長めに泳ぐなどして泳力をつけておくのが良いです。普通のフィンキック(フラッターキック=バタ足)とあおり足を交互に使うなどして早く長く泳げるような練習をしておきましょう。
ダウンカレント・アップカレントの知識&対処法
流れの早いポイントの中でも地形に特徴のあるポイントではダウンカレントやアップカレントに合う確率が高くなります。
- 棚の上で流れていた場合、急に深くなっていくところではダウンカレントが発生しやすくなります。
- ドロップオフに流れがぶつかるポイントではアップカレントが起こる可能性があります。
また、ちょっとした場所の違いで流れが違う方向に向かっていることもあります。
現地のガイドはそういった流れに熟知しているはずなのでしっかりとブリーフィングや特別な対処法があるかを聞いておきましょう。
ダウンカレントやアップカレントについてもっと知りたい方はこちらの記事を参考にして下さい。
【予測可能】ダウンカレント・アップカレントのしくみと回避法、対処法
ダウンカレントの対処法
ダウンカレントの強さ、いる場所によって対処法が変わります。
ここではダイバーが中層にいた場合の対処法を解説します。
排気の泡が上がるのがゆっくりかも?程度のダウンカレント
- 上向きにフィンキックをして水深を上げる努力をする
- 難しいと感じたらBCに空気を入れる
- 水深を確認しながらゆっくり浮上
*ダウンカレントが終わると急に浮き上がるので注意
急に耳に違和感を覚える位のダウンカレント
- 上向きにフィンキックしつつBCに空気を入れる
- 水深を確認しながらゆっくり浮上
- やむを得ない場合はウェイトを捨てる
- ダウンカレントが終わると急に浮き上がるのでBC排気の準備をしておく。
- ウェイトを捨てた場合は下に向かって泳ぐなど浮上速度をなるべく遅くするように努める
ダイバー
BCに空気を入れた場合、ダウンカレントがなくなった時点で急に吹き上がりますので十分に気をつけましょう。
ダウンカレントやアップカレントについてもっと知りたい方はこちらの記事を参考にして下さい。
【予測可能】ダウンカレント・アップカレントのしくみと回避法、対処法
アップカレントの対処法
ドロップオフから棚の上に向かってアップカレントが起ることが多いです。
もし捕まってしまった場合ダウンカレントとは違ってすぐに気が付くことが出来るくらいダウンカレントよりも強い流れのことが多いです。
アップカレントの対処法
- 下向きにフィンキックをしつつお尻側についているクイックリリースバルブからBCの空気を抜く。
- それでも回避できない場合、リーフに捕まり下に降りる
- それでも回避できない場合棚の角までは強い流れなのであきらめて棚の上までできるだけ速度を調節しながら流される(ほとんどは流れに太刀打ちできません)
- 棚の上にくると流れが多少おさまるのでコースの浅場を横移動する。
- それもできない場合は浅場に打ち上げられないように気をつけつつ浮上
ダイバー
ガイドと同じ水深・コースを保つことでほぼ回避できますが自分だけ違う水深・コースをとるとアップカレントにつかまる危険性が大きくなります。気をつけましょう。
ダウンカレントやアップカレントについてもっと知りたい方はこちらの記事を参考にして下さい。
【予測可能】ダウンカレント・アップカレントのしくみと回避法、対処法
カレントフックの使い方を知っていること
流れの早い場所で根待ちをするときに使用するのがカレントフックです。
今では一般的になっていてダイビングショップなどでも購入できるようになっていますが
昔はただのロープを引っかけるだけだったり、図太くてでっかい釣り針の先っちょをやすりで丸めロープをつけて自作していました。
根待ちをする場所のほとんどはドロップオフの上の棚になります。
流れがドロップオフにあたり強いアップカレントになっているのでアップカレントが少しおさまっているくらいの場所を選びましょう。
カレントフックの使い方
- 根待ちをする棚にきてからフックを取り出します。
- フックを棚の上のくぼみなどにしっかりととりつけます。
- フック反対側のカラビナ等をBCに取り付けます。
- しっかりロープがピンと張るようにします。
- 少しだけBCに空気を入れて着底しないようにします。
- 外すときはBCの空気を抜いてからフックを外します。
- 外した後もしっかりガイドについていきましょう。
特に気をつけたいのはカレントフックを使う場面の直前は強いカレントがあることです。
BCのポケットなどから取り出そうとよそ見をしていてガイドを見失ったりしないようにしましょう。
フックを取り付けた後はロープがピンと張っていないと緩んだ時に外れることがあるので気をつけましょう。
BCの空気も入れ過ぎると万が一フックが外れた時に急浮上して危険ですのでほどほどにしましょう。
カレントフックのおすすめや正しい使い方についての詳細はこちらを参考にして下さい。
【根待ちダイビング】カレントフックの使い方と注意点、おすすめの条件
フロートを水面・水中から打ち上げることが出来る
ワイド・大物向けのダイブスポットではダイビングでの移動距離がかなりあることが普通です。
ですからロストした場合、他のダイバーと遠く離れて浮上というのも普通にあります。
ボートなどにちゃんと見つけてもらえるようにフロートはしっかり使えるようにしましょう。
水面ではシグナルフロートを上げます。
フロートが多ければ多いほど見つけてもらえやすくなります。
ダイバー
シグナルフロート(水面)の上げ方
- フロートの空気入れ口にオクトパスのマウスピース部分を入れます。
- フロートが上、オクトパスが下になるように水中に沈めます
- オクトパスのパージボタンを押します。
- フロートが立ち上がるまで水中に沈めたままパージボタンを押し続けます。
- しっかり立ち上がったらオクトパスを外しフロートの空気入れ口は水中のままで少し沈めるようにするとフロートがピンと立ちます。
ブリーフィングでロストした場合は自分で安全停止してから浮上してくださいと言われた場合は水中から安全停止フロートを上げます。
*特にブリーフィングで指示がない場合は安全停止無しで浮上、水面でシグナルフロートを上げます。
ダイバー
安全停止フロート(水中)の上げ方
- 安全停止の水深に来たらフロート&ロープを絡まないように取り出します。
- フロートの空気入れ口にオクトパスのマウスピース部分を入れパージボタンを押します。
- 3分の1ほど空気が入ったらすぐフロートから手を放します。
- フロートが浮き上がったらロープを引っ張るようにするとフロートがピンと立ちます。
水面でのシグナルフロートは自分で練習しても良いですが
水中からの安瀬全停止フロートは失敗すると危険なのでインストラクターに教えてもらう方が良いでしょう。
シグナルフロート・安全停止フロートの詳しい上げ方、手入れ法などはこちらの記事を参考にしてください。
【ダイビングフロート】2つの使用法とお手入れ・おすすめ構造について
まとめ
これぞ海外の醍醐味というワイド・大物スポット
思いっきり楽しみたいのであればある程度のスキルをつけてから潜るのがおすすめです。
スキルは本数では測れません。
自分ができているかどうか判断できない場合はバディやインストラクターに見てもらいましょう。
楽しいダイビングを!!
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